轟病院
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甲状腺
甲状腺とは
甲状腺とは首の前部、のどぼとけのすぐ下にあり、大きさ約4.5㎝×4㎝の臓器です。正面から見ると蝶のような形をしています。
小さな臓器ですが『甲状腺ホルモン』という全身に必要な大切なホルモンをつくっている重要な臓器です。
こんな症状がある方は甲状腺の病気の可能性があります
・のど・首に腫れやしこりがある
・鬱々とする
・なんかだるい
・動悸がする
・コレステロール値が高い/低い
・首が腫れて飲み込みにくい
・のど、首の前方が痛い
・眼球が突出してきた。まぶたが腫れてきた
・眼球が突出してきた。まぶたが腫れてきた
・検査で甲状腺ホルモンの異常値を指摘された
・物忘れが激しい
甲状腺ホルモンは全身の代謝にかかわるため、その症状は患者さんによっても様々で、甲状腺の機能が低下した場合と向上しすぎた(専門用語で”亢進”と言います)場合でも症状が違ってきます。また徐々に変化するため、症状の出方が緩慢になり発見が遅れることが多くあります。
甲状腺疾患の特徴として症状が他の病気と区別がつけづらく、時に精神的な疾患だと思ったら甲状腺が原因だったという事例も少なくありません。
上記のような変化に気が付いたらぜひ甲状腺疾患の可能性も検討して受診してください。
甲状腺機能低下症(Hypothyroidism)
症状
全身症状 : 疲れやすい、低体温、寒がり、体重増加、低音の声
消化器症状: 舌肥大、便秘、
循環器症状: 高血圧、心肥大、心電図低位
神経筋症状: こむら返り、手根管症候群、
呼吸器症状: 呼吸数減少
血液系 : 貧血
皮膚症状 : 手足、顔のむくみ、押しても跡が残らないむくみ、汗をかきにくくなった、乾燥して肌が荒れて冷たい、抜け毛か増えた、
眉毛の外側三分の一が抜ける、皮膚が黄色くなってきた
神経症状 : 記憶力の低下がある、計算力が落ちた、うつ状態がある、かと思ったら興奮する
月経不順、: 月経不順、月経過多
どの症状も、原因が甲状腺とは結びつかないかもしれません。なかなか改善しないこれらの症状がある場合にはぜひ当院の内科外来にかかってください。
診断
甲状腺ホルモン(FT3, FT4)の低下と脳下垂体から分泌される甲状腺刺激ホルモン(TSH)の増加によって診断します
治療
甲状腺機能低下症の治療には、甲状腺ホルモンである合成T4製剤(チラーヂン®S)の服用による治療を行います。
その際、鉄剤、亜鉛含有胃潰瘍薬、アルミニウム含有制酸剤などは甲状腺ホルモン製剤の吸収を阻害するので、内服間隔をあけることが必要です。また抗痙攣薬や抗結核薬と併用時には増量が必要な場合もあります。
高齢者や、冠動脈疾患、不整脈のある患者さんでは慎重に内服を開始します。
橋本病(慢性甲状腺炎)
橋本病(慢性甲状腺炎)は甲状腺ホルモンが少なくなる病気(甲状腺機能低下症)の代表的な疾患です。
橋本病(慢性甲状腺炎)は非常に頻度の高い病気で、成人女性の10人に1人、成人男性の40人に1人にみられます。
ただし、橋本病だからといって、全員の甲状腺ホルモンが少なくなるわけではなく、橋本病のうち甲状腺機能低下症になるのは4~5人に1人未満です。大部分の人では甲状腺ホルモンは正常に保たれています。女性に多く、男女比は1:20~30くらいです。特に30~40代の女性に発症することが多く、幼児や学童はまれです。
原因
橋本病(慢性甲状腺炎)は自己免疫疾患の一つです。自己免疫疾患とは、細菌やウィルスなどから体を守るための免疫が、自分の臓器・細胞を標的にしてしまうことで起きる病気の総称です。
橋本病では、免疫の異常によって甲状腺に慢性的に炎症が生じていることから、慢性甲状腺炎とも呼ばれます。この慢性炎症によって甲状腺組織が少しずつ壊され、甲状腺ホルモンが作られにくくなると、甲状腺機能低下症が生じます。バセドウ病と同様に、なぜ免疫の異常が生じるかはわかっていません。橋本病を持っている人が、強いストレスや妊娠・出産、ヨード過剰摂取(海藻類、薬剤、造影剤など)等をきっかけとして甲状腺機能低下症を発症し、橋本病が明らかになるのではないかと考えられています。
妊娠希望のある場合や妊娠中の「橋本病(慢性甲状腺炎)」
甲状腺自己抗体が陽性の場合、TSHが2.5µU/mlをこえる程度の軽い潜在性甲状腺機能低下症であっても、流早産や妊娠高血圧症候群のリスクが高く治療によりそのリスクを改善できることが明らかになっています。
橋本病(慢性甲状腺炎)では、妊娠を希望する場合には、TSH2.5µU/ml以下を目標に、合成T4製剤(チラーヂンS®、レボチロキシン®)の内服を調整します。妊娠すると妊娠15週までに甲状腺ホルモンの必要量が約1.3~1.5倍に増えるので、妊娠がわかったら、甲状腺ホルモン量を20~30%増量するかすぐに主治医を受診するかはあらかじめ担当医と相談してください。妊娠初期は、4週毎に甲状腺機能のチェックを行い、妊娠30週前後で一度チェックを行います。妊娠中・後期はTSH3.0µU/ml(後期は3.5µU/mlでもよい)以下にコントロールするのが一般的です。分娩後は妊娠前の量に戻します。産後甲状腺炎チェックのために産後6~12週と産後6か月時に甲状腺機能をチェックしましょう。橋本病の場合、約6割のひとが産後無痛性甲状腺炎や甲状腺機能低下症を合併するといわれています。合成T4製剤を内服しながらの授乳は問題ありません。
治療
甲状腺機能が正常の橋本病では、原則的に治療は必要ありません。
甲状腺機能低下症がある場合は、合成T4製剤の内服を行います。ヨード過剰が疑われる場合は、ヨード制限も行います。潜在性甲状腺機能低下症の場合は、妊娠中あるいは妊娠希望の女性では速やかに甲状腺ホルモン補充を開始します。甲状腺刺激ホルモン(TSH)が10µU/ml以上や、高コレステロール血症を伴う場合などでは、合成T4製剤の内服を検討します。
甲状腺機能亢進症(Hyperthyroidism)
血中の甲状腺ホルモンの働きが過剰になる状態を言います。代謝が活発になり暑がりや汗が多くなります。
エネルギーが無駄に消費されてしまうため食事の量は増えますがやせてきたりします。神経にも作用して手がふるえたり、イライラしたりすることもあります。下痢など体の様々なところに症状は出現します。
症状
・暑がりになる、汗が多く出る、体温が上昇する
・よく食べる、痩せる
・手が震える
・イライラする、落ち着きがなくなる、胸がドキドキする
・疲れやすくなる、息切れがする
・月経不順
・下痢
原因
甲状腺機能亢進症の原因として①バセドウ病、②機能性甲状腺結節、③TSH産生下垂体腫瘍、④妊娠性一過性甲状腺機能亢進症 などがあります。
診断
甲状腺ホルモン(FT3, FT4)、甲状腺刺激ホルモン(TSH)の値。
甲状腺が炎症を起こしていないか調べるためにCRPを測定することもあります。
超音波検査、心電図や、胸部X-Pなど様々な検査を組み合わせて原因を特定します。
甲状腺腫瘍
甲状腺にできる腫瘍には、良性と悪性があります。
良性腫瘍には、濾胞腺腫と、腺腫様甲状腺腫やのう胞などが含まれます。
悪性腫瘍(甲状腺癌)は、乳頭癌、濾胞癌、髄様癌、低分化癌、未分化癌、その他(悪性リンパ腫など)に大別され、乳頭癌と濾胞癌をあわせて甲状腺分化癌とよびます。
甲状腺に腫瘍がみつかった場合、まずは超音波検査を行い、悪性が疑われれば、精密検査として穿刺吸引細胞診を行って良悪性の鑑別を行います。ただし手術を行わないと、良性と悪性の区別がつかない場合もあります。特に、濾胞腺腫と濾胞癌とは穿刺吸引細胞診では区別ができず、常に鑑別が問題になります。
良性・悪性の割合
触診による甲状腺腫瘍の発見率は、0.78~1.87%とされ、そのうち悪性の割合は、男性14.4%、女性11.34%と報告されています。
超音波検査を用いると、発見率は6.9~31.6%に上がりますが、そのうち悪性の割合は、男性1.9%、女性3.18%と報告されています。
症状
腫瘍が大きくなれば、甲状腺にしこりや甲状腺全体の腫れ、前頸部の違和感などを感じることがあります。良性腫瘍から甲状腺ホルモンが過剰産生される機能性甲状腺結節の場合には、動悸、発汗過多、体重減少などの甲状腺機能亢進症状が出ることがあります。
治療
良性腫瘍であれば、原則的に治療はせず、経過観察します。ただし、腫瘍が大きく美容上気になる場合や圧迫症状が強い場合、あるいは悪性腫瘍の合併が疑われる場合などは手術を行います。
機能性甲状腺結節の場合も手術を検討します。嚢胞や機能性甲状腺結節の場合には、表面から針を刺して腫瘍内にエタノールを注入して腫瘍を壊死させる、PEIT(percutaneous ethanol injection therapy)という治療が行われることがあります。
悪性腫瘍の場合は、手術が基本となります。術後再発や、遠隔転移がある場合は、手術後に放射線ヨウ素内用療法を行います。
亜急性甲状腺炎
甲状腺内に炎症がおき、甲状腺組織が壊れる病気です。そのため、甲状腺組織内に貯留されていた甲状腺ホルモンが血中に流れ出て、血中の甲状腺ホルモンが上昇します。風邪の後に続いて起こることがしばしばあり、ウイルス感染により生じる可能性があります。時間はかかりますが自然に炎症はおさまり、甲状腺中毒症も直ります。なりやすい体質がありますので10-30年後に再発することもあります。
甲状腺内の炎症は数か月で落ち着き、内服薬もその頃には不要になります。上昇した甲状腺ホルモンは徐々に低下し正常になりますが、甲状腺内の甲状腺ホルモン枯渇のため、その後に一時的に甲状腺ホルモン不足(甲状腺機能低下)状態になることがあります。この甲状腺機能低下は一過性のことが多いのですが永続性の甲状腺機能低下症となり、合成T4製剤の服用が必要となる場合もあります。
症状
症状は炎症による症状と甲状腺ホルモン高値(甲状腺中毒症)による症状があります。
炎症により、発熱と痛みを伴う甲状腺の腫れがおきます。痛みが移動することもあります。
甲状腺ホルモンが過剰のため、全身倦怠感、動悸、多汗などの症状がおきます。
治療
高熱や首の痛みがひどい人では生活に支障を生じるため、症状に応じて副腎皮質ホルモン(ステロイド)や抗炎症薬の投与が必要です。ステロイドにより一晩で痛みや発熱が改善しますが薬を早く減らしたり、急に中止すると、ぶり返してしまうことがあるので、症状改善後は薬を徐々に減らし中止していきます(逓減するといいます)。甲状腺中毒症状が強いときは、βブロッカーなどを使用します。